驚いたことに、気付けば新学期だ。
毎日ぼーっと過ごしてるつもりはないのに、
時間はいつも私のペースに合わせてくれない。
この春、大学を卒業するということで、
たくさんの人に会って、とってもとっても濃縮された日々を送ったので、ちょっと書き留めておきたい。
今回は、登山サークルの卒業旅行のことを、書いてみようと思う。
最初、女子陣を中心に、卒業旅行は台湾あたりで、みんなで楽しく観光して、美味しいもの食べたいね!という素朴で平和な願望が共有されていたと思うのだが、
気が付けば海外ガチ登山をしようという計画が着々と進んでいた。
結局、二月中旬から末にかけて、ボルネオに滞在することになる。(笑)
キナバル山登山
ボルネオ島、コタキナバルの農村を白いワゴンで長いこと揺られ、会話も尽きてくると、
真っ青な空に絶壁のようにそびえ立つ、キナバル山が見えてくる。
東南アジア最高峰の、4000mを超える熱帯の山だ。
山麓や山道では、物資を運んだり山小屋を経営したりするマレーの人々が、ゆったりした時間のなかで生活している。
こういう旅をするといつも気づかされ、そしてまたすぐ忘れてしまうのだけれど、
自分は随分と、縛られる必要のない数々のルールを、自分に設定してしまっている。
外人の登山観光客にはガイドがつくことに決まっているようなのだが、
ジャスは、私たちが全然違う価値観や見えないルールの世界から来たことを、何も聞かずとも全てわかってるように見えた。
飄々と私たちを導いては、植物や地形や星を教えてくれたり、
嘘の方角を言って私たちをからかったりした彼は、
今日もあの道を、何を考えて歩いているのだろう。
素敵なスコットランド人の老夫婦の話もある。
山麓で一人、休んでいる夫人に出会って、たまたま会話をしたら、夫婦で来ているという。
登らないのですかと聞くと、旦那さんが登っていて、もうすぐ下山するのよと、
何十年も前に二人で登った、思い出の山なのよと、教えてくれた。
出発して少しした頃、道中で北欧風の男性と出会って、すぐにピンときた。
会話してみると、果たして彼であった。
私たちの写真を撮ってくれたんですよと伝えると、なかなか美人だろうと、嬉しそうに言っていた。
1日黙々と登って、3000m以上来たというのに、熱帯のキナバルにはまだ緑がある。
山で仮眠をとってから、まだ真っ暗な真夜中に出発をすると、星がこぼれてきそうなほどいっぱいに空に散りばめられていた。
上ばかり見てなんども躓きながらも、なんとか頂上で朝日に間に合った。(笑)
“千と千尋の神隠し” で、最後千尋がもとの世界に戻るときに、振り向いてはいけないよと言われるシーンがあるが、
私にとって下山は、なんだかそんな感覚だ。
一気に降りて、降りきって、振り返ると、
千尋がトンネルをじっと見つめてしまうように、雲の上に隠れた山に続く、山道の入り口に見入ってしまう。
ボルネオの街
たっぷりと寝て体力を回復させてからは、マレーシアの街を歩き回った。
市場の熱気と、潮風と、散歩と、おしゃべりとの写真を数枚。
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ムル国立自然公園
マレーでしばらくエアビーを転々とした後、小さな飛行機でムルの国立公園に行った。
熱帯雨林のど真ん中の自然公園なのだが、人生で訪れた中でダントツで、一番小さな空港だった。
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空港というか広場的なところでは、卓球のラケットにしか見えない何かを持った人が一人立っていて、
車の車庫入れでもするかのように飛行機を先導していた。
搭乗ゲート的なところもただの門で、荷物も荷台で運ばれくるのが普通に見えるし、殆ど手渡しだ。(笑)
そんなとんでもない大自然のど真ん中のこの公園では、壮大な熱帯雨林と、世界有数の巨大鍾乳洞に、触れることができる。
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鍾乳洞の中は、信じられないほど広くて、川も流れていて、
気の遠くなるほど長い時間をかけてできた、巨大な鍾乳石が無数に並んでいた。
静かで、ひんやりとしていて、本当にスターウォーズか何かの世界みたい。
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鍾乳洞は全体で295kmという理解不能なほどの長さがあるらしい。一日中歩いたはずの洞窟は、ほんの入り口でしかないのだ。
本当に狭い世界で生きてるんだなって、片隅で暮らしているんだなって、唸ってしまう。
ところで、なんとこの公園で日本人と遭遇した。向こうは研究者だったようだが、私たちの日本語に振り向いて、こんなところでこいつら一体何してるんだという顔をされてしまった。(笑)
卒論のこと
ボルネオ旅行は、自然を満喫しただけでなく友達とのエピソードもたくさんあって、めちゃめちゃ楽しんだのだけど、
一応直前まではちゃんと引きこもって卒論を頑張っていたので、最後に一言書いておきたい。(笑)
一年間、環境の変化も大きく割と大変だったけれど、
無事卒論も書き上げて卒業もできて、本当に、あらゆる人に感謝である。
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きっとこの先もたくさん失敗するし、なけなしの期待や信頼を裏切ってしまうこともあると思うけれど、
空気なんか読めない人の顔をして、挫けずマイペースに頑張りたいなと、思うのである。