紫陽花は、気候も気分もじめっとした梅雨の雰囲気と、そんな風景の中にぽっと映える綺麗な色のイメージとが相まって、私のお気に入りの花のひとつである。
先日最寄りの駅前を歩いていたら、お花屋さんに父の日向けの紫陽花のブーケが並んでいて、思わず立ち寄ってしまった。
疎遠な父だが、電話でもかけたら喜んでくれるだろうか。
父は昔から、母(や娘たち)に今日も美人さんだねえ、などと平気で言ったりする人で、ちょっと変な人なんだな、程度に思っていたのだが、
以前、あんまり職場とかではそういうこと言わない方が良いんじゃないかな、と優しく助言してみたところ(笑)、
外では勿論言ってないけど、そう言いたくても好きなだけ言える権利は他の男のひとにはないからな、思ったら言うようにしているんだ、みたいな返答が返ってきて、
あれ、なんかこれ母幸せなんじゃないか、、?などと思ったことがある。(笑)
素敵だね、それ良いね、ありがとう、
日常からポジティブな言葉を発信し、ポジティブな言葉に身を包むことは、
心を前向きにし良いサイクルを回していくために大切なことだと思っている。
こういった社会情勢があって、日常生活に強い空間的な制限が掛かっているなか、自分自身、そしてきっと多くの人が、今まで以上に言葉やテキスト情報に敏感になっているように感じる。
お互いを励まし合うようなたくさんの素敵な言葉が見られる一方、最近はSNSでの攻撃的な発言や軽率な言動など、本当に悲しい気持ちにさせられる出来事も後を絶たない。
SNS、ネットでのコミュニケーションが主体になった環境では、どうしても想像力が大きく欠如してしまうことがあって、
相手と対面しながらのリアルなコミュニケーションでは決して言えないような、攻撃的な言葉が簡単に拡散されてしまう。
日本ではLINEに継ぎTwitterが使用率・使用頻度共に高く、若年層の80%はTwitterを使用している [1]。
FacebookやInstagramと比較し、発信が非常に簡単で、リツイートによる拡散力・リアルタイム性が強いので、
デマや誹謗中傷といったことが発生・拡散するプラットフォームにもなりやすい。
実際、新規性や話題性のある「うそ」の拡散率は真実よりも70%高く [2]、
怒りの感情、特に明確な標的がいるケースは、共感を生みやすい [3]。
そして、多くの人から共感を得ることはとても快感なことだ。
何度も議論されていて、新規性もないことかもしれないが、やはり今すぐ改善しなくてはならない問題だと思うので、もうちょっとだけ読んでいただけたらとても嬉しい。
どんな立場の人であれ、相手の人としての尊厳を侵すような発言はアウトだが、
自分のイメージでご飯を食べている人たちにとって、匿名アカウントで攻撃されることは、どんなに恐ろしいことだろう。
実際は、誹謗中傷するような発言はごくわずかであるそうだが [4]、
そういった攻撃を受けて、逃げることも反論することもできないなんて、想像するだけでもぞっとする。
認定された公式アカウントなど、リプライを制限できるようなシステムは必要と思われる。
(現在 Twitter は、リプライの許可範囲を選択できる、 conversation participants 機能を導入中である [5])
また、被害を受けた人が法的処置をとるサポートを強めハードルを低くすること、
自分のイメージが重要である立場であれば特に、周囲がどう思うか、と躊躇してしまうかもしれないけれど、
勇気を持って、適切に発言していくこと、そうした事例を増やしていくことが重要である。
法的処置は怒りや感情で達成できることではない。気軽にできる誹謗中傷とは違って、根気強い行動が必要だし、理性が求められる。
意味不明な発言はスルーするというのは勿論正しく、普段はそれで全く良いのだが、
あまりにひどいときは、周囲もサポートして、対応していくことが大切だと思う。
テキストと負の感情の組み合わせは、拡散されやすく、増幅されやすく、厄介だが、
想像力を持った、温かい言葉で溢れた空間を作っていけるように、メディアの構造を改革していくことができたらと願ってやまない。
参考
[1] https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/
[2] S. Vosoughi, D. Roy and S. Aral, Science 359, 6380, 1146-1151 (2018)
[3] https://forbesjapan.com/articles/detail/29910/1/1/1
[4] https://news.livedoor.com/article/detail/18385606/
[5] https://help.twitter.com/en/using-twitter/twitter-conversations